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大阪高等裁判所 昭和63年(ネ)1765号 判決 1990年7月20日

主文

原判決を次のとおり変更する。

控訴人は、被控訴人に対し、原判決別紙物件目録二記載の建物を収去して同物件目録一記載の土地を明け渡し、かつ、昭和六二年七月一五日から同年一二月末日までは一か月二万三〇〇〇円の割合による金員を、同六三年一月一日から右土地明け渡しずみに至るまでは一か月四万六〇〇〇円の割合による金員を支払え。

被控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は一、二審とも控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加、訂正するほかは原判決事実摘示及び原当審記録中の証拠目録記載のとおりであるから、これらをここに引用する。

原判決三枚目裏二行目の「賃料を」の次に「、昭和六二年七月一〇日に、同月分以降月額二万三〇〇〇円の割合の賃料を」を付加し、四枚目裏末行の「供託」を「を供託」に訂正し、五枚目裏七行目末尾の次に「控訴人において従前賃料を供託せざるを得なかったこと及びそれが長期に及んだことの責任は、いずれも被控訴人の過大請求と賃料改定についての交渉に被控訴人が全く応じようとしなかった態度にあったのである。」を付加する。

理由

一、当裁判所も、被控訴人の本訴請求は理由があるからこれを認容すべきものと判断するものであって、その理由は次のとおり訂正、付加するほかは原判決の理由説示(六枚目裏末行冒頭から一〇枚目裏一一行目末尾まで)と同じであるから、これをここに引用する。

原判決七枚目裏二行目の「従来賃料」を「従前賃料」に訂正し、同六、七行目の「賃料を」の次に「、昭和六二年七月一〇日に、同月分以降は月額二万三〇〇〇円の割合の賃料を」を、八枚目表一一行目の「第一五号証、」の次に「弁論の全趣旨により成立を認める甲第二〇号証の一ないし三、成立に争いのない乙第五号証、」を付加し、同一一行目の「証人楊智香の証言、被告本人尋問の結果」を「原当審証人楊智香の証言、原当審における控訴人本人尋問の結果(ただし、後記採用しない部分を除く。)」に訂正し、同裏八行目の「続けてきたこと」の次に「(なお、控訴人は、昭和六二年一月二八日に、昭和五九年七月分以降同六二年六月分までの控訴人において相当と考える月額一万〇一四〇円の割合による賃料を、同年七月一〇日に、同年七月分以降同年一二月分までの控訴人において相当と考える月額二万三〇〇〇円の割合による賃料を各供託している。)」を付加し、九枚目裏初行の「なされたことを」を「なされていたことについて正確にはともかくほぼその大要を」に、同七行目の「(」から同八行目の「供託したのであり」までを「(もっとも、昭和五九年七月分以降は月額一万〇一四〇円、同六二年七月分以降は月額二万三〇〇〇円)を供託していたにすぎないものであり」に、同一一行目の「主張」から同末行の「証拠はない。」までを「主張するところ、乙第一六号証、同第一七号証の一の各記載及び原当審における控訴人本人の供述中には右主張に沿う部分があるが、しかし、これらは前掲他の証拠に照らしてにわかに採用することができず、他に右主張を認めるに足りる証拠はない。」に、一〇枚目表三行目の「約一七年間に渡り」を「約一二年余の間」に、同四行目の「(」から「)」までを「(なお、控訴人は、昭和五九年七月分以降は月額一万〇一四〇円、同六二年七月分以降は月額二万三〇〇〇円の各割合の賃料を供託しているが、しかし、右の供託をした日時は、前記のとおり、前者は昭和六二年一月二八日であり、後者は同年七月一〇日である。)」に、同裏初行の「原告」を「控訴人」に訂正し、同五行目の「明らかであり、」の次に「他に権利の濫用に該当することを認めさせるに足る事実は本件証拠上認められないので」を付加し、同九行目の「明渡すこと」から同一一行目末尾までを「明け渡す義務及び解除後である昭和六二年七月一五日以降同年一二月末日までは一か月二万三〇〇〇円の割合による賃料相当損害金(一か月の賃料相当損害金の額は、前記認定の事実及び弁論の全趣旨により四万六〇〇〇円であると認められるところ、前記のとおり、控訴人は解除前の昭和六二年七月一〇日に同年七月分以降一二月分まで月額二万三〇〇〇円の割合による賃料を供託しているから、前記の期間についての賃料相当損害金の額は、右供託分を控除すると一か月二万三〇〇〇円の割合となる。)を、昭和六三年一月一日以降本件土地の明け渡しずみに至るまでは一か月四万六〇〇〇円の割合による賃料相当損害金を支払う義務があるというべきである。したがって、被控訴人の本訴請求は、右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却すべきものである。」を付加する。

二、よって、原判決を本判決主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民訴法九六条、八九条、九二条を適用して(なお、仮執行の宣言の申立てについては相当でないからこれを却下する。)、主文のとおり判決する。

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